今夜も美味しいランデブー
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「あ、うまそうやなあ」
彼は嬉しそうにちゃぶ台に並んだ料理を見つめる。
一生懸命、用意してよかった。
食べることにこだわる彼のことだから手なんか抜いたらきっとすぐにばれてしまうから。
「さっさと食べよ?」
「あれ?
妹さんは?
もうすぐ帰ってくるんちゃうんか?
先に食べてもええんか?」
彼は思い出したようにそう言って持っていたお箸をまた戻す。
「あ、ええの、ええの。
あんな奴」
アタシはそう言いながら我ながらよくできた菜っ葉とうす揚げを炊いたんを一口、
食べる。
うん、いい出来だ。
そう思ったとき
「だれがあんな奴って?」
玄関のほうで声がする。