My best friend
「もうすぐ3年だなぁ」
「やだなー」と、頭の後ろで腕を組む高村くん。
三学期は授業も少ないし、あっという間で春休みになって、3年生になってしまう。
自分の進路を決めなきゃいけない。
「伊沢は進路どうすんの?」
「ん……まだ決まってない」
「そっかー。俺もまだなんだよなぁ、どうしよ」
自然とこんな話をしていると、なんだか大人になったんだなぁとか、他人事のように思ってしまう。
「中里はどうなの?」
「ひーはたぶん進学すると思う」
「ふーん」
ちゃんと決めたわけじゃないけど、あたしはたぶん就職。
ひーと一緒にいられるのは、きっとあと一年もないだろう。
「3年、かぁ……」
高村くんがもう一度つぶやいた。
夕陽に照らされて道路にできた、二人分の長い影。
それをぼんやりと眺めながら、あたしたちは歩いていた。
すると──。
「律センパーイ!」
やたら明るい声が背中に飛んできて、あたしたちは反射的に振り返った。