My best friend
高村くん、田代先輩と一緒に病院へ向かった。
その途中で昨日のことを思い出す。
ひーは、泣いていた。
手術を目前にして、恐怖が押し寄せたのか。
本人は何も言おうとはしなかったから、どんな気持ちで泣いていたのかはわからない。
でも、手術の日が近づくにつれ、ひーはぼんやりとすることが増え、どこか遠い目をしていた。
──怖くないわけがない。
成功率は30%。あまりにも低すぎる数値。
死ぬ確率のほうが大きいのに、生きるためとはいえ、誰がそんな危険な手術を受けたがるだろう。
できるものなら、代わってあげたい。
こんな苦しみ、ひーが背負う必要はない。
ひーは、17年生きてきて何も悪いことはしていない。
それなのに、どうしてひーがここまで苦しまなきゃいけないんだ。
そう思えば思うほど、目頭が熱くなり、視界は歪んでいくのだった。
「来たよ、ひー」
病室に入る前に気合いを入れる。
ひーの前では泣かないって決めていた。
だから今日も、笑顔で差し入れを掲げてみせる。