My best friend
それを見ると、ひーは一瞬表情を曇らせたけど、またすぐにいつもの元気な笑顔に戻る。
「わかりました。すぐ行きますから」
ひーが答えると、看護師さんはどこか申し訳なさそうに頭を下げて出ていった。
「……今日は、もうダメなの?」
あたしが先に問いかけると、ひーは「うん……」と力なく頷いた。
「ごめんね。これから手術前最後の検査もあるし、遅くまでの面会は明日に響くかもしれないからって……」
そこまで医者に釘を刺されるほど、大変な手術なんだと改めて知った。
「わかった。じゃあ、あたしたちもう帰るね」
今夜、美香子さんは病院に泊まるらしいけど、あたしたちまでそうしたら迷惑になってしまう。
ここはおとなしく、ひーを信じて待つべきだ。
親友らしく。
「じゃあなー、中里ー!」
「ひろちゃん、手術終わったらすぐ連絡頂戴!」
そう残して、ふたりは先に病院を出ていった。
「またあとでね、ひー」
「うん」
“頑張って”とは言わない。
言う必要なんてないから。
あたしは信じてればいいだけ。
ひー、待ってるからね。