My best friend
My best friend
ひーの手術が成功してから、二週間後──。
「退院おめでとうございます」
もう春の息吹きが感じられる頃。
綺麗に片付けられた病室の窓から、爽やかな風が入ってくる。
さえずりをやめない鳥たちは、あたしたちと同じように“今日”という日をお祝いしてくれてるみたい。
「先生のおかげです。長い間、お世話になりました」
昔からひーの主治医だったお医者さんに、ひーと美香子さんは丁寧にお辞儀した。
「いや、僕は何も。頑張ったのは裕菜ちゃんだ、僕はその手伝いをしていたに過ぎない」
「でも、先生がいなかったら私きっと、“今日”という日を迎えられませんでした。本当に……本当にありがとうございます」
顔をあげて微笑んだひーは、少し涙ぐんでいるようにも見えた。
ひーは、感慨深そうに病院内をぐるりと一周してから外に出る。
お医者さんは、最後まで見送ってくれるみたいで、玄関まで一緒に来てくれた。