My best friend
次の男子の言葉に、あたしの心はズタズタに傷つけられた。
「伊沢ってさ、なんか可哀想だよなー」
「そうそう。特別ブスってわけじゃないんだけど……
中里と一緒にいるからさー」
“中里と一緒にいるから”?
どういう意味……?
「中里が可愛すぎるから、伊沢がめちゃくちゃブサイクに見えるんだよ」
何……それ。
沸々と沸き上がるこの感情は、怒りに近いのに悲しみにも似てる。
「伊沢って、中里の引き立て役だよなー!」
──バンッ!
『違うわよ!!』
叫ぶ代わりに、ドアを勢いよく開けた。
ありえないぐらい大きな音に驚き、爆笑していた男子たちは身体を強ばらせる。
そして、あたしの姿を見つけると顔を青くして押し黙った。
あたしは何も言わず、何も知らない風を装って、目的だった忘れ物を手にする。
男子たちが、罰が悪そうに視線をさまよわせてるのが、視界の隅に見えた。
……ホントにバカじゃないの。