年下彼氏くん
この歓迎会、重役達もいっぱいいる。
だからみんなここぞとばかりに自分を売りに行く。
でもあたしは行かない。
上の人の機嫌を取ってまで、あたしは昇進したくない。
やっぱりあたしには、一人でこじんまり飲む方が合ってる…。
誰にも見つからないところで一人で時間を潰した。
しばらくすると始まった自己紹介。
今年入ってきたのはたった3人。
凄まじい競争率らしい…。
可愛らしい女の子たち。
「真鍋さんも良くやるわよね〜…。さっそく口説いてる…。」
「莉華も行ってきたら?」
「あたしそろそろヤバいから〜帰る〜!」
「はいはい。送っていくからね〜」
酔っ払いの莉華を連れて、こっそり店から出た。
「もしもし、リオくん?たのみまーす!」
『はいはい』
いつも飲んだ後は、莉華の兄リオくんが迎えに来てくれる。
昔から良くしてもらってるかっこよくて、優しい理想のお兄ちゃん。
しばらくすると目の前に止まった一台の車。
「いつも悪いね、柚乃ちゃん。あれ?柚乃ちゃんは乗らないの?」
「今日は寄るとこがあるんで大丈夫です!」
「そっか。じゃあな!」
「はい!」
あたしのお兄ちゃんもリオくんみたいな人だったらよかったのに…。
なーんて。