ラヴァーズ
「……見つけた」

心臓が、高鳴る。

白いとびらが、目に染みる。

扉を開こうとする腕が、震える。

ぐ、っとこぶしを握り締め、唾液をえんげする。

もう一度、魚井雪夢、と達筆にかかれたプレートを見て、

「……失礼します…」

扉をスライドさせる。

個室、だった。

その、白く清潔なベッドに、かわらない彼女の姿。

長くなった髪の毛。

すこし小さくなったようにも思うけど、

彼女だ。

彼女が、振り向く。

心臓が、高鳴る。

「……ゆ、き、…め…?」

「………はい?」

少し、戸惑ったように笑う雪夢。俺は、泣きそうになった。

「久しぶりだな、覚えてるか、冬威だ。幼なじみの」

覚えているに、決まっている。だって、彼女は、生まれたときからずっと一緒で、学年が違っても、何もかわらないくらいには絆は深くて、大切な奴で、守りたくて、



「……え、あなた、誰なんですか」



━━━━━━オカシイ。

「…はじめて、会う人ですよね?」

━━━━━━なんで。

「………すみません…知りません…」

彼女は深緑の手帳らしきものをめくりながら、トウイ、トウイと、つぶやきながら何かを探していた。そして申し訳なさそうにそういった。


後ろから、看護師の人が、俺の肩を掴んだのがわかった。華月が、顔を真っ青にして、俺の服を掴んでいた。








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