Transfer Girl
今ステージで演奏していたバンドが終わり、次のバンドが舞台そでから現れた。




次は…今度はどんな音を聞かせてくれるのだろうと、こんな気持ちは久々だと思っていると何か違和感を感じた。




「っは!?」



俺のささいな驚嘆などひしめく人にすぐ飲み込まれてしまったが、俺は開いた口が閉まらなかった。





ステージの上でギターの音をあわせているのがさっきまで自分の隣にいた友人だったからだ。




まるで箸を扱うようにギターに触れる俊也が遠くまた高く見えた。




あれは本当にいつものふざけあっていた俊也なのだろうか。


そんなことを考えてしまう程ヤツの表情はこんなに大勢の前でも堂々としていて自信に満ちあふれていた。




ドラムの合図で走り出す音。



イントロから主張するようなヤツのギターがあまりにもかっこよくて、歓声など俺の耳には届かない。

























そして俺は次の瞬間全てを奪われる。










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