君の花嫁
気がついた私に雨宮昌平はゆっくりと頷いた。
「ああ、そうだ。もう察しているだろうが、これはいわゆる政略結婚というやつだ」
政略結婚。
頭をガンっと殴られたような気がした、
雰囲気からしてまさかとは思っていたけど。
実際に自分がそうなるなんて考えたくなかったのに。
青ざめる私に雨宮昌平は穏やかに微笑んだ。
「君には我が雨宮家に嫁いでもらうよ」
血の気が引くような、脱力するような、そんな感じがした。
突然の事でショックが大きかったのだろう。
反論する声すらも出てこない。
手足が冷たく感じ、目眩がした。
あまりにも私がショックを受けているので、この場はお開きにし、詳しい説明は家に帰ってから父と母にしてもらうことになった。
フラフラと屋敷を出る。
そんな中、唯一覚えていることは、目の前に座っていた無表情な男の子。
雨宮伊織が一言も口を開かなかった、ということだけだった。