君の花嫁


「すみません」


伊織のことを言ってるのか、風間さんは申し訳なさそうにしながら、私の荷物を持ってくれた。
中に入るよう促される。


「他のお荷物は既に届いております」
「そうですか」


手荷物以外は既にこちらに送っていたが、それはもう部屋にあるようだ。
風間さんの後ろをついて歩いていくと、長い廊下から中庭が見えた。
真ん中には小さな池もあり、風情がある。
木も芝生も何もかもが手入れされている。
立派な日本庭園だ。ちょっと癒される。

廊下を進み、部屋に案内された。


「こちらが真琴様のお部屋になります。何か必要な物がお有りでしたらおっしゃって下さいね」


はい、と頷いて部屋を見渡した。
この家が和風なのでもちろん部屋も畳みの和風。
しかし広々として、ベッドも机もあり、内装は使いやすそうで結構いいな。
服関係の私の荷物は段ボールで積まれているが、家具は全て雨宮家が用意してくれている。
よく見ると家具も高そうなものばかり。
以前の自分の部屋とは比べ物にならないくらい素敵だった。


「ちなみに、この先が伊織様のお部屋です。ご一緒がよろしかったですか?」



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