君の花嫁



「あぁ、よくお似合いですよ。では参りましょう。伊織様がお待ちです」


私の新しい制服姿に風間さんはニコリと笑って車へと歩き出す。
それに続いて玄関へ向かう。

やっぱり伊織と一緒に登校か。
朝食にいなかったから別に登校かと少し期待していた。
私はこっそりため息をつく。


ここの生活は何不自由なく、料理も掃除も何もしなくてよい。
お手伝いさんがいるから。
何かしようとするとそれはお手伝いさんの仕事をとることになると言われた。

私がやることと言ったら、あえていうなら、伊織の妹の莉奈と遊ぶくらいだ。


本当、“何もしない”。
“嫁”という肩書きで同居しているに過ぎなかった。


まぁ、嫁として何か求められても困るだけだけどね。




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