君の花嫁


“夫”の伊織とだって、


「おはよう」

「はよ」


車に乗り込むと既に中にいた伊織がチラッと私を見た。
これ、二日ぶりの会話です。


普通ならすでに離婚の危機にある夫婦の雰囲気だ。
もちろん、夫婦らしいことなんてひとつもしてない。
顔を会わせれば軽く挨拶するくらいだ。

でも一応“新婚”なんだけれど。
私は窓の外を見ながらため息を圧し殺す。


「では出発致します」


風間さんの運転で学校へ向かう。
学校に送り迎えってこと自体がすでに普通ではないと思いながら私の新生活はスタートした。





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