君の花嫁
翌日。
私は現在、可愛い柄の着物を着て、見知らぬ大きな屋敷の部屋にいた。
和室で畳の匂いがホッとするような、手入れが行き届いている広い部屋。
その中央の机がある。
私の両側には父と母。
二人ももちろん、普段着なんかではなくてめかしこんでフォーマルスーツに身を包んでいる。
そして。
そして、何故か目の前には同じ年頃くらいの男の子がいた。
高そうなスーツを着て、やけに整った顔で無表情にこちらを見ている。
顔的には美形の部類には入るんじゃないかな?
でも無表情が何だか冷たい雰囲気を作っている。
てか……この人誰?
そもそも何の説明もないし、どういうことかサッパリ理解出来ない。
着付けをされているときだって、何度もどういうことか母に尋ねた。
でも曖昧に笑って、絶対に教えてくれなかったのだ。
それにこの格好。着物を着て見知らぬ人の家にいるのって。
これじゃぁまるで……。
嫌な考えに思わず俯く。
しかし、周りの様子からして、困惑しているのは私だけのようだ。
これは一体何事!?
私は早くも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。