君の花嫁
そうなのだ。
よく見ると婚姻届の名前の欄にしっかりと“綾川真琴”と書いてある。
一体どうして私の名前が書いてあるのか!?
混乱して婚姻届を持つ手が震える。
「えっ、なんで私の名前が書いてあるの!?婚姻届ってどういうことよ!?」
隣に座る父を振り替える。
私は父に必死に訴えるが父は困ったように笑うだけ。
そして俯いてしまった。
「お母さんっ!?」
反対側を振り返り、母にも訴える。
しかし、母も父と同じような反応だった。
どうして!?
何なの?
意味がわからない!
そもそもなんで私はここにいるの?
これは一体どういうことなの?
私は混乱して訳がわからなくなり、頭を抱えていた。
「落ち着きなさい。真琴」
パニックになる私に、お父さんは静かに言う。
やっと口を開いた父をハッと見た。
「説明するから、きちんと座りなさい」
その静かな、しかし有無を言わせない感じに私はグッと言葉を飲み込み、座り直す 。
ゆっくりと深呼吸をして息を整えた。
そうでもしないと混乱で呼吸を忘れそうだから。