Real [短編]
「僕にだってないよ、守りたいものなんて」


ゆっくり目を開けると


真っ直ぐな瞳を空に向ける、

高木の姿があった。




「自分の存在も心も、
 守りたいなんて思った事ないしさ。
 いっその事消えちゃえば
 楽になるんじゃないか・・・ってね」



同情なんかじゃなくて



「でも死ぬのは怖い・・・だろ?」



一緒なんだ。


何もかも。



「気が合いそうだね、僕たち」


「ああ、そうだな」




そうは言ったものの、コイツだって人間。



誰かを置き去りにしても歩いて行ける、



人間なんだ・・・
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