朝が待てなくて
「えーっ、真琴こういうの観たいんだ?」
映画館のロビーでサホリンに聞いた洋画のタイトルを告げると、樹は言った。
「恋愛ものだろ? それ」
樹はもっと痛快なのを観るつもりだったみたい。
考えといてなんて言うから考えたんだけど。
「嫌なの?」
「嫌じゃないけどさぁ、カーチェイスとか、CG駆使してスゴイことになったりとか、そ-ゆーの全然ないやつだぞ。いいのか?」
なんて訊く。
「あはは、樹が観たいやつでいいよ。友達が薦めてくれたから言ってみただけ」
わたしがそう笑うと彼はチラッとこっちを見て
「いや、いーよ、別に」って受付のお姉さんにさっきのタイトルを告げた。