朝が待てなくて
小さな決意
ガタガタッと驚いて立ち上がるとき、壁際からリレーのバトンみたくノートを手渡された。
見ると矢印が書かれていて「ここから!」と走り書きがしてある。
「はい、上野さん。次、訳して下さい」
わたしがノートに並んだくせのないきれいな文字を読み上げていくと、メガネ女史はちょっと驚いたような顔をし、それから満足げに微笑んだ。
「はい、完璧ですね」
そのタイミングでチャイムが鳴り、授業終了となる。
「ありがと。助かった」
わたしは後ろを振り返り、大淀にノートを返した。
「寝てたのか? 何度も呼ばれてたぜ?」
「ああ、うん、考え事してた」