朝が待てなくて

雫ちゃんの耳元に唇を寄せて


「片想いなんだ」


って打ち明けたら、キュッと手を握ってくれたよ。



可愛いがんばろうの合図―




何となく樹と目が合い、その途端彼はわたしの表情で察したらしく「あ、しまった!」って顔をした。


フン…だ!





「おっしゃ! あっちのプール行くぞ」


樹がおもむろに隣の幼児用プールを指差した。




行ってみるとさすが幼児用で、雫ちゃんの腰のあたりまでしか水がなく、これなら子供達だけでも安心して遊べる感じだった。


樹とわたしはプールの縁に座って足だけ水につけ、キャッキャと遊ぶ雫ちゃん達を見守ることにする。







あ…


コンクリートについたわたしの手に


今、樹の手が重なった――


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