朝が待てなくて

驚いて隣を見上げると

彼は素知らぬ顔で前を向いたまま「こら、危ねーぞ」とか陸クン達に大声を飛ばして笑っている。


偶然樹が手をついたところにわたしの手があったのかな…って思い、手を引っ込めて別のところに置いた。


そうしたら彼の手が追ってきて、またわたしの手の上に重なる。




………上手いよね樹、こういうの。




「彼女じゃないもん」


前を向いたままの横顔にポツッと抗議すると、端正な顔立ちが途端にほどけて


「やっぱ拗ねてんだ?」


と笑った。




…フン。


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