朝が待てなくて

「16かぁ…」


15も16も彼にとってはさして変わりはないらしく、樹はこんなことを言った。


「真琴が17歳になったら、親にもちゃんと話すよ」


「そんなときまでつきあってるか わかんないじゃん」


思わずそう返したら、彼は一瞬言葉を呑み


それから「…だよなぁ」って笑った。




「学校で好きなヤツできちゃうよな」


なんて言う。



樹のバカ……!





悲しくなってうつむいていると、樹も口をつぐんでしゃべらなくなった。


――無言が重い。




周りの嬌声や水しぶきの音が、やけに遠くに感じていた。


< 193 / 771 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop