朝が待てなくて
「そんなに嫌なら……別に紹介してくれなくてもよかったのに」
「は?」
「今日なんかプールで日焼けして鼻の頭は赤くなってるし、髪だって自然乾燥中で…服装もショートパンツにTシャツで、まるで中学生みたいだもん」
「お前なぁ…」
「樹がそんなに恥ずかしく思うんだったら、無理しなくてもよかったもん…」
二人っきりのエレベーターの箱の中――
並んだ肩をグイッと真横に引き寄せられた。
「そうやって拗ねまくるのは、俺のせいだもん…な?」
さっきまでとは違う柔らかな口調……。
親にバレたら困るって言われてわたしが拗ねちゃったから
樹はわざわざお母さんに会わせてくれて
『彼女だ』って紹介までしてくれて
なのにわたしってば、何が不満――?