朝が待てなくて
「ゴメン、樹は悪くないよ。わたし変なの。突っかかってばっかり」
あわててそう見上げると、樹の眼が優しく笑っていた。
「ちゃんと説明するから…」
ひがんでばっかのわたしではなくて、なぜか樹がそんなことを言ったんだ…。
ちょうどそのとき一階に着いたエレベーターの扉が開く。
玄関ホールの向こうでは、植え込みの緑や道路のアスファルトを反射させて、夏の太陽がやけに白く、そこらじゅうを照らしていた。
「家、7時までに帰れたら大丈夫か?」
「あ、うん」
今が3時だからあと4時間は一緒にいられる!
日向へと一歩踏み出し、キラキラと眩しい日差しの中で樹が振り返った。
「ドライブでもするか?」
「うん!」