朝が待てなくて

「何で?」


「最近あいつ働き過ぎなんだよ。ここ2カ月は休みもまったくとってないしな」


「えっ、会社が忙しいんでしょ?」


樹にはそういうふうに聞いていた。


お互いに部活や仕事が忙しくてなかなか休みが取れないけど、がんばろうねって…。




「いや、あいつだけだよ。4月からこっち樹はバンバン仕事を引き受けてさ、通常の仕事の隙間にぎっしりと入れていくわけ。そんなペースでやってると体壊すぞって何度も言ってんだけどな…」


祐二さんの顔が困ったような表情になる。



「どうもあいつは借金を一刻も早く完済したいみたいなんだ」


「へぇ…」


「だから俺、てっきりまこっちゃんと借金のことで揉めたのかと思ってさ」


なんて祐二さんは言った。


< 262 / 771 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop