朝が待てなくて
お店の前に着いたら、樹はつないだ手を一瞬ギュッとしてから離す。
へへ、がんばろうの合図だ――
カウンターの席に着くなり彼は
「豚たれ丼とみそ汁と鶏南蛮とキムチ」
なんてがっつり注文して、わたしが牛丼のミニを頼むと「お、生玉子もつけるか?」とかマジで訊いてくる。
あは「いらないし」
運ばれて来た料理を樹はもりもりと食べる。
真っ直ぐ座って、お箸の遣い方もきれいで、次から次へとパクパクっておいしそうに平らげていく様子は見ていて気持ちがいいくらい。
洒落たお店でも何でもないけれど、わたしはここが好きだな。
こうやって並んで座って樹がご飯を食べるのを間近で見てると、何とも幸せな気分になる。