朝が待てなくて

「でもどこにも行かないよ。休養しないと樹疲れちゃうからね」


会うだけでいいもん、って隣を見上げてそう言うと、こげ茶色の瞳とバシッと目が合った。


「バーカ、辛気臭いこと言うなって」


なーんて彼の目が笑う。


そしてその目を外さずに樹は言った。


「優しい彼女…だな」


サラッと何でもないことのように言われてんのに、見られてるだけでいちいちドギマギしてしまう。



「別に…」


ってブスッと言うのが精いっぱい。


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