朝が待てなくて

「あ、そうだ。遅くなっちゃったけどお花見の写真があるんだよ。お母さんがプリントしてくれた」


樹に見せようと思って持ってきてたのを思い出してゴソゴソと鞄から取り出した。


「おっ」


1枚ずつ写真をめくりながら、樹の顔がやっぱり笑顔になっていく。




わたしたちはこの春も、前と同じメンバーでお花見に出かけたんだ。そ、家族同伴のあれね。


もちろん祐二さんや香美さんも一緒に。


去年同様いいお天気で、すごく楽しくて、満開の桜はとてもきれいだったよ。





ふと、写真をめくっていた樹の手が止まった。


「ん?」


見るとそれは、お父さんとお母さんとわたしと妹が楽しそうに笑って写っている写真で、知らない間に樹が撮ってくれた1枚だった。


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