朝が待てなくて

「俺、飯食ったあと寝ちゃってて、着信気がついたの今なんだわ」


ごめんな、と樹は言った。


ああ、寝起きの声だね……。




「梨、ありがとう」


わたしがそう言うと、樹は「おっ」と嬉しそうな声を上げた。


「でっかい梨だったろ? びっくりした?」


「え、うん」


「わはは、ホントはその顔が見たかったんだ」


「へ?」


「梨を見て、真琴が目を真ん丸くするとこ、見たかったんだよなぁ、俺」


なーんて彼は言う。




「……面白いの?」


マジでそう訊いたら、樹はゲラゲラと笑った。

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