朝が待てなくて


「あんとき」が、あのディープなキスのことだと、やっと気づいてあわてふためく。


ヒゲが痛かったかどうかなんて、パニクってたからわかんないよ。



「樹、寝ぼけてたんだ…?」


「いや、半分くらいな」


半分は意識的にしたってこと…。


思い出して真っ赤になっている顔を見られちゃった。




「樹、寝言言ってたよ」


恥ずかしまぎれにウソをつく。


「何て?」


「『真琴、愛してる…』だって」


言わねーわ、とかって怒られると思ったら、樹は「マジか」と照れくさそうにつぶやいた。




これも……否定せずにいてくれるんだね。


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