朝が待てなくて
「さて、どこ行く?」
取りあえず二人並んで駅の方へ歩き出してから樹が訊いた。
今日は車じゃなくて歩きだから行き先を決めないと動けない。
気ままにドライブウェイを行くというわけにはいかないんだよね。
「樹お昼まだでしょ? 食べに行く?」
「ああ。けどお前はもう食ったんだろ?」
「おにぎり半分しか食べてないよ。練習の途中だったし動けなくなるから」
そっか、と樹がジーンズのポッケから携帯を取り出して時間をチェックした。
「夕飯には中途半端な時間なんだよなぁ…」
「え、晩ご飯なの?」
「うん、今日は記念日だから二人でゴージャスなディナーでも食おうと思って」
「…いーよ、そんなの。わたし制服だもん」