朝が待てなくて
「同じのつけてたら、いつも一緒にいるみたいで、ちょっとくらい会えなくても平気かも」
「魔法のストラップだもんな~?」
携帯にストラップを取りつけながら、樹が唄うように言った。
「ぶ、子供だと思ってバカにしてる?」
「してねーし。あっ、お前、他のヤツはずしてからつけろよ」
ジャラジャラと、他のストラップがついたまま更にひもを通そうとするわたしの手元を見て、樹が騒ぎ出す。
「やだよ。友達にお土産でもらったり、おそろいで買ったりとか、いろいろと思い入れがあるんだもん。はずせないし」
「は? 浮気者だなぁ。俺なんかホラ、真琴一筋だぞ」
ジャーン、って1つだけ取りつけた真新しいストラップを揺らしながら、樹が携帯を突き出した。