朝が待てなくて
椅子から転がり落ちるくらいの勢いで、わたしは窓辺に駆け寄ると
ガラッと思いっきりガラス戸を開けた。
二階にあるわたしの部屋の窓は道路に面していて、階下を見下ろすとでっかいコンテナの銀色の屋根がバーンと見えた。
うちの門からそのトラックへ男の人が歩いて行く。
「た、樹…っ」
その声に振り返り、よぉって感じで彼が片手を大きく上げた。
五、六歩戻って、わたしがいる窓の真下に彼は立つ。
「遅くまでがんばってんじゃん」
2月の深夜の外気は
しんと、痛いくらいに冷たくて――
放った窓からその冷気が押し寄せて来る。