朝が待てなくて
■ 揺れる想い
元カノ
「え、……美里か?」
「うん、久し振りだね。…ひとり?」
「いや、デート中」
樹とその人は見つめ合ったままで小さな間があり、それから彼女が朗らかに言った。
「あっ、すごーい可愛い彼女ができたって、香美から聞いてるよ」
「うん」
「その子に夢中なんだって?」
「うん」
樹……
否定しないの?
「あ」
3歩が進めなくなって固まっているわたしに気づいて、樹が小さな声を発した。
その声と、流れた彼の視線を追って、その人が振り返った。