朝が待てなくて
二人並んで歩き出したとき、樹がわたしの手を取ろうとしたけれど、思わずその手を振り払ってしまった。
だってなんかムカつく……。
「あれ?」
と彼は苦笑する。
それでも特に何も言わずに、肩から下げたわたしのカバンをスルリと引き受けてくれた。
「いい」
カバンを取り返そうと引っ張ったけど、そこは譲らずに、樹はわたしの顔を見た。
ギュッと口を結んだ意地っ張りな顔を。
「なんで怒ってんの?」
柔らかな声で彼は笑う。
……笑うな!
ズルいよ。
黙っていたら、樹が恐るおそる訊いてきた。
「仕事……入れたから、だよな?」
マジで、確認しなきゃわかんないんだ?