朝が待てなくて

「う……ん」


美里さんにくぎづけになった樹の顔がちらついて、昨夜はほとんど眠れなかった。


それからメチャクチャ恐かった樹の怒った顔。


怒ったらあんなふうになるんだ……。


悲しくて布団にもぐって泣いたし。


そんで普段の優しい笑顔を思い出したら、余計に泣けた。





「けど樹クンは、その人のために借金を返してるって言われて、怒りだしたんでしょ? 真剣に真琴のことを想ってるからこそ、そんなこと疑われて腹が立ったんだよ?」


そう励ましてくれるサホリンを、うつむいたままチラッと見上げる。



「けど図星だったから、逆ギレしたのかもよ?」



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