朝が待てなくて
ウィーン、ウィーン……
電車を降りて学校までの道を歩いていると、ポケットの中でケータイが震えた。
手に取ると、空色のライトが光っている。
樹……。
「……はい」
思ったより低く硬い声が出た。
「真琴か……?」
「うん」
「貧血は?」
「あ……もう大丈夫」
普通すぎる樹の声に戸惑う。
昨夜寝ぼけて別の女の名前を呼んだことなんて、きっと知らないんだろうな…。
「昨日電話もらってたけど、時間がなくて返せなかった。なんか用事だったか?」
なんて訊く。