朝が待てなくて

ケータイの向こう側で、樹が小さくため息をついたのがわかった。


「それが知りたくて電話してきたのか?」




ちがうもん!


樹は気分を害したみたい。


いや、それはこっちだから……!




「声が聞きたかっただけだよ」


硬い声のまま、わたしは言った。


「そっか」


「声、聞いたし。昨夜」


「ん?」


「夜中に電話して……ミサって、呼ばれた」


「えっ?」


「樹、わたしのこと『ミサ』って呼んだんだよ?」




一瞬の沈黙――。




「…………あ、あれ真琴か?」



バカ。


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