朝が待てなくて
「ま、まだ捨てられてないよ?」
あわててそう告げたら、大淀はこっちを見て、プ、と笑った。
左手は大淀にギュッと握られ、右手には肩からずり落ちたカバンを持っているから、涙がふけずにいる。
う……涙と鼻水とで悲惨なことになっている顔を、まともに見られた。
そっと手を離し、彼はポケットティッシュを目の前に差し出してくれる。
「ありがと」
ティッシュで涙をふき、チーンと鼻をかんだ。
「トラック野郎に泣かされたの?」
大淀の問いに思わずコクンとうなずいた。
「シメてやろうか?」
「プフ、大淀のほうが弱いよ、きっと」
「あ~、やっぱし?」
なんて笑う。