朝が待てなくて
あの日見たのは腕だけだったけど、足とかお腹とか、ほかにも夫からヒドイことをされてるかもしれないんだ。
優しい夫だなんて言ってたから、普段は美里さんにべったりで、離れたくても離してはくれないのかもしれない。
お医者さんだったら、きっとお金持ちなんだろうし、お母さんや妹さんの将来のことまで、やっぱ考えたりするんだろうか?
怖くて怖くて、でもどうすることもできなくて、美里さんはひとりぼっちで震えているの……?
彼女には、樹が差し出した手だけが、たったひとつの救いなのかもしれない。
そして……
樹は、そんな美里さんを放っておけるような人じゃない。
だから、わたしは樹が好きだもん。