朝が待てなくて
海へ
海行きの前日、土曜日は部活の昼錬が終わって、いったん帰宅し、夕食とお風呂を済ませてから、みんなで大淀の家に集まった。
樹が運転してくれるというので、大淀の家のワゴン車を借りることになったんだ。
「おー、でっけぇ家」
「え、スポーツカーじゃん。二人しか乗れないよ?」
来てみてビックリ!
大淀の家はかなりの豪邸で、庭から見える車庫には、黒くてツヤツヤのオープンカーがシュッとすまして停まっていた。
「ワゴンは向こうの車庫にある」
ぶっきらぼうな大淀の声。
「ゲ、お前んち、車何台あんだよっ?」
「たぶん5台。俺乗らないから知んねーし」
興奮気味の塩崎の問いにも、大淀の返事はそっけない。