朝が待てなくて
「上野」
「ん……?」
「俺なら、もっと大切にする」
大淀の勝気な黒い瞳が、どこか不安げに揺れる。
「あんなふうに……泣かせたりしない」
一瞬――
胸がドキッと震えた。
「おー、今日の大淀は気合入ってるじゃん」
「昨日は樹クンのキャラに押され気味だったのにね~」
後ろから追いついてきたサホリンとミャンマーが冷やかしていく。
たぶん大淀がこんなテンションで話してるなんて思ってない。
「ゆっくりでいいから……」
少し硬い声で、大淀は言った。
「マジで考えてみて」
それだけ言うと、彼は塩崎たちと合流して、海の中へと入っていく。
冷やかすように塩崎たちから水をかけられ、はじけた大淀の笑顔は、
何だかキラキラと……眩しかった。