朝が待てなくて
「樹クン優しいからなぁ」
とサホリンが言った。
「痛々しい元カノを守ってあげたくなっちゃうかも、だ」
「やだよ、そんなの」
わたしの代わりにミャンマーが悲痛な声をあげる。
「震える彼女を抱きしめたら、昔の記憶がリアルに呼び覚まされちゃったりして」
「だから、やだって、それ」
そんな二人のやりとりを黙って聞いているわたしに、サホリンが言った。
「樹クンもイヤだったから、真琴を部屋に誘ったんじゃないの? そんな気持ちのまま帰りたくなかったんだよ、きっと」
「そっかぁ……!」
ミャンマーが明るい声を出したけど、
裏を返せば、樹の心がそれほど乱されていたってことだ……。