朝が待てなくて
■ ひとつに……
最後の賭け
翌週の水曜日、香美さんからメールをもらった。
『美里の引っ越しが無事済んで、今日樹、自分の部屋に戻ったよ!』ってやつ。
会いたい……。
すぐにでも。
次の朝早起きして、学校に行く前に樹のアパートに寄ってみた。
時間は7時過ぎ――。
今まで仕事あがりにもらったメールは7時台が多く、工事の仕事が終わって家に戻る時間がそれぐらいなんだろうと思ったから。
ピンポーン
樹の部屋に着き、呼び鈴を押した。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
誰もいないみたい。
それとももう寝ちゃったんだろうか?
ううん、今から帰ってくるとこなのかも。
電話をしてみたけれど、やっぱつながらない。
ドキドキしながらしばらく待った。
だけど、小一時間ほどでタイムアップ。
学校に間に合うギリギリの時間まで待って、樹のアパートをあとにする。
また夕方出直そう。
仕事に出かける前の樹と会えるはずだから……。