朝が待てなくて
「中途半端な真似すんなっ」
怒りをあらわにしたその表情も大声も、すごく怖くて足がすくんだ。
「で……きねーんだってば」
よろっと起き上がった大淀は呻くようにそうつぶやくと、低い体勢から樹に体当たりをする。
不意をつかれた樹が今度はデーンと仰向けにひっくり返って、その上に大淀が馬乗りになった。
「奪おうとしても……できねーんだってば」
樹のTシャツの襟首をつかんで上から押さえつけ、大淀が声をあげる。
「奪いたくても……上野は泣くんだよ。あんたじゃなきゃイヤだって、ビービー泣くんじゃんか」
そう言った大淀の声が震えていた。