朝が待てなくて
「上野が……あんたのこと想って、いつもいつも一生懸命で、それがスゲー可愛かったんだ」
その震える声に、大淀の手を払いのけようとしていた樹の動きが止まる。
「あんなふうに想われたら、どんなに可愛いだろうって、いつも思ってた。そんなふうに俺のことを想ってくれたらどんなにいいだろうって……」
大淀の目から樹の胸に雫が落下する。
「だけどあいつは俺じゃダメだって泣くんだよ。あんたじゃなきゃダメなんだって、泣くんじゃん……。なんとかしろよ、バカ」
静かな部屋に、大淀が嗚咽を抑える息づかいだけが聞こえていて、3人とも動けずに固まっていた。