朝が待てなくて
美里さん以上に好きになる人は現れないと思ったし、二度と恋なんてしないと思っていたらしい……。
「『だけど俺、今、ちゃんとできてるだろ? つーか、かなりイタい感じで熱くなったりときめいたりしてるわけよ、これでも。
だからさ美里、お前だって大丈夫だ。今にきっといいやつが現れる』なんて樹は胸を張るの」
そう言った美里さんの表情が柔らかくほどけていく。
「おかしいよね? 振った相手を自分で励ますなんて。フフ。
だけど樹に言われたらなんかそんな気がしてきちゃった。がんばってたらそのうち幸せになれるかな、なぁんて」
そう言って美里さんは笑った。
樹とよく似た温かな笑顔で――。