ありふれた恋を。
『先生を見る目が違うことくらい私は知ってるって言われて…。』
俺を見る目。
有佐はいつもどんな目で俺を見てくれていたのだろう。
『先生も、同じ目で私を見てるって。』
有佐は少し躊躇った後でそう続けた。
俺はいつもどんな目で有佐を見ていたのだろう。
俺たちは、どんな目でお互いを見ていたのだろう。
「そうか。」
あの日から消化しきれない想いが俺たちの間にあるのかもしれない。
忘れようとしても忘れることができず、離れようとしても離れることができない。
ずっと、同じ想いでお互いを見てきたとしたら。
「有佐は伊吹のこと、好きなのか?」
先程見たまっすぐな伊吹の目を思い出す。
俺が今するべきなのは、間違いなく2人を応援することだ。
だけど…
『好き…ではないです。友達としてはすごく良い人だし大好きだけど、恋愛感情ではなくて。』
有佐の言葉を聞いて、間違っていても良いと覚悟を決める。
俺は有佐を守りたい。
教師としてではなく、もっと近くで。