ありふれた恋を。

完璧教師じゃなくても良い。

そのままの先生のことが好きで、このままの私のことを好きでいてほしいと思ったんだ。



『夏波?』


辺りがすっかり暗くなった頃、お兄ちゃんが帰宅した。

結局あのまま家には帰らず、お兄ちゃんの部屋に行くと母に連絡をしてマンションへ来た。

お兄ちゃんが帰るまでマンション内に置かれている椅子に座って待ちながら、先生の方が先に帰って来ないかと密かに期待していたけれど帰宅はまだのようだ。



『何やってんだよ。』

「ごめん。急に来て。」

『こんなとこに居たら危ないだろ!連絡くれれば早く帰って来たのに。』


お兄ちゃんのことだから連絡をすれば無理をしてでも早く帰って来るのではないかと思い、あえて連絡をしなかった。



「ごめん。でも大丈夫だったから。」

『いくらマンションの中でも可愛い女子高生が1人で居るのは危険なんだからな。今度から絶対連絡しろよな。』


相変わらず恥ずかしげもなく愛情を表現するお兄ちゃんに思わず笑ってしまう。


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