ありふれた恋を。
『あの部屋に?散らかり放題で、何かちょっと臭うあの部屋に?俺の夏波を上げるわけ?』
『私お兄ちゃんのじゃないし、だから先生はどんな生活してるの!』
全部図星すぎて返す言葉がない。
「掃除します、夏休みまでに。なのでそれまでの間、この部屋をお貸しください。」
綺麗な部屋で、有佐と過ごす夏休みを迎えると誓います。
『俺は手伝わないよ?』
「は?なんでだよ!」
『俺だって引っ越しの準備があるからね。必要最低限の荷物をまとめないと。それに今まで掃除を怠ってきた弘くん自身の責任でしょ。』
またも返す言葉がない。
家事の中でも掃除が1番苦手なのに…。
『もう、私が手伝うよ!』
『だから夏波をあの部屋に入らせるわけには…』
『そんなこと言ってる場合じゃないでしょうよ!』
「よろしくお願いします。有佐さん。」
頭を下げた俺に呆れ返っているであろう2人に、もう顔を上げることもできなかった。