ありふれた恋を。

「なに?」


先生か伊吹くんのどちらかにしろと言われた翌日からなぜか彩ちゃんは急に私に声をかけなくなって、こうして話しかけられるのは久しぶりのような気がした。



『1人なんだね、お弁当。』

「うん…まぁ。」


伊吹くんとはもう一緒に食べなくなったし、里沙は彼氏と一緒だし、だからと言って先生と食べることもできない結果の1人だ。



『じゃあ一緒に食べても良いでしょ?』

「え?」


返事をするまでもなくすぐ隣に座った彩ちゃんから、もう逃げられないなと思う。



『つまんないよね、結構。なつなつって。』


そして何の前置きもなく言われた言葉の意味が飲み込めず戸惑う。

つまんない…

私今、かなりど直球に悪口言われてる?



『先生も伊吹もどっちも選ばないとかさ。』

「えっ?」


どっちも選ばない?

ということは、私が先生と付き合い始めたことは気付かれていないということか。


伊吹くんには、先生が正直に話したと言っていた。

伊吹くんに気付かれてしまったから。



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